Tuesday, November 11, 2008

ガーナ便り

「インドビザを取る」という名目と、「ガーナにあるという日蓮正宗のお寺を見てみたい!」、そして「そのお寺の日本人のご住職さんと話がしたい!!(トーゴには日本人全然いないし)」という目的で、土曜日からトーゴの隣国ガーナの首都アクラに来ています。アクラはトーゴ入りの経由地だったから前にも一晩だけいたことがあるけど、その時は全然何も見ずにトーゴに抜けたから実質今回が初めてのアクラ。
なんだか予想以上に素晴らしいステイになっていて涙が出るくらい感動してます。

感動の目次。
①アクラの都会ぶり
②日蓮正宗の発展ぶり
③ご住職さんとの出会い
④Tさんとの出会い

①アクラの都会ぶり

トーゴ人はよくわたしに「イギリス領だったガーナとかナイジェリアは発展してるけどフランスの統治は最悪でさ~ここトーゴもこのありさまだよ」的なことを語ってくるので、ガーナは発展しているという期待をはなから持って訪れたのですが、アクラはその期待をさえ遥かに凌駕するような発展ぶりをわたしに見せつけてきました。

・ショッピングモールがある! 
・道路がきれい! 中央線もある! 車線が複数ある! 標識もある! 
・走ってる車が新しい! 
・橋が壊れかけてない! 
・家々の屋根がトタン板じゃない! (←これにいちばん驚いた) 

わたしが住むトーゴの首都ロメとたった3時間ぐらいしか離れてないのに、こんなにも違うのかと本当にびっくり。そしてトーゴのなにもなさぶりを改めて痛感。トーゴってほんとにお金ないんだな~と、不憫になるほどの格差だった。ガーナのことは全然わからないから何とも言えませんが、実際の貧困層の生活状況とかはガーナもトーゴもそれほど変わらないのかもしれないけど、でも同じ首都としての街の発展レベルのあまりの違いは本当に衝撃的だった。

でももっと衝撃的だったのは、聞く話によればほんの3-4年前はアクラよりロメの方が全然都会だったってこと。今のアクラとロメだけを見てたら絶対に絶対にそんなこと信じられない。アクラの変化のスピードには目覚ましいものがあるみたい。わお。ショッピングモール周辺(アクラの中でもいちばん新しくて都会的な地区らしい)ではアメリカの田舎のちょっと大きな街をドライブしてるかのような錯覚に陥るほどで、ひたすら "This is NOT Africa." という思いがよぎる。でもこういう本質主義的なイメージで語るのはあんまりよくありませんね。こうして欧米化され「開発」されていく姿も今のアフリカの素顔のひとつには違いないもんね。

②日蓮正宗の発展ぶり

そもそも日蓮正宗のお寺を知ったのは、トーゴで本当に偶然というか運命というか的な一信者さん(もちろんトーゴ人)との出会いから。私が日本人というところから始まって、「日本人か~じゃNichirenshuって知ってる?」という突飛な質問をされ、「アクラにお寺があるんだよ~あ、そういえば今度そこのお寺のご住職さんがトーゴに来るよ、もしよかったら君も見に来る?」という話になって、9月の半ばごろ見に行ったのがご住職さんとの最初の出会い。その時の「よかったらアクラのお寺に来てくださいね」というお言葉に甘えて今回ほんとにお寺を訪ねちゃったのでした。

最初にトーゴに仏教があるって聞いたときは、正直なところ、どんな変なマニアック少数派集団がこんなところで仏教なんて信じてるんだろう、と思いましたが、実は歴史はわりと古くてガーナに初めて日本人のお坊さんが訪れたのが1974年らしい。そして信者数も今、西アフリカだけで(たしか)2500人とかいるみたい。アクラのお寺はアフリカで唯一のお寺で、信者さんたちの力だけで(日本の総本山とかからの資金援助は全くなく)建てて運営しているお寺らしいのだけど、ものすごく立派!!! アフリカで見た宗教施設の中でいちばん立派なのは間違いない(※エジプトの遺跡を除く)。信者さんたちも社会の上層部に位置する人たちが多いみたいで、とにかく豪華で立派でした。この、宗教にはお金が集まるっていうの、不思議だよね。なんというか、精神世界の功徳のためにモノを積み上げていくかんじ、ちょっとねじれがあるようなないような。でもそういう批判こそお金というものに目を眩まされている証拠のようなそうじゃないような。

あと、ここの信者さんたちは普通のトーゴ人・ガーナ人とは違う。ここには純粋な善意というものが存在する気がする。それから礼儀正しさが日本ぽい。お辞儀したりとか。

③ご住職さんとの出会い

先にも書いた通りご住職さんとお会いするのは彼がトーゴにいらした時に引き続き今回で2回目なのですが、ちゃんとお話しするのは今回が初めてに等しいかんじでした。さらに彼はわたしはアフリカに来て出会った初めての日本人でもあります。トーゴに日本人がいないっていうのは結構イタイ。。海外での同郷者ネットワークってかなり重要な気がします。

今回のアクラ行きは前々からトーゴの信者さんに伝えてあったのでわたしはてっきり彼がご住職さんに知らせてくれていたと思っていたのですが、そこはさすがトーゴ人、そんな事前段取りなんてものはなく、不本意ながら全く突然の押しかけ訪問になってしまったにも関わらず、ご住職さんは泊まるところや食事などなど何から何まで本当にご親切にお世話してくれました。恐縮しまくりのわたしに「お寺は困っている人のためにあるものだから」とのお言葉が印象的でした。

それからお寺の敷地内にあるご住職さんご一家のお宅にもお邪魔させていただいたのだけど、これは本当の意味で "This is not Africa." でした。家の造りも、家に置いてあるものも、まるで日本。奥様手作りのハヤシライスをごちそうになり(5月のパリで食べたなんちゃってお寿司以来の日本食!!!涙)、『座頭市』と黒澤明監督の『影武者』(すごくいい映画です、これ)を鑑賞。『ウォーターボーイズ』とかをお勧めされる中この2本を選んだのに特に深い意味はなかったのですが、「やっぱり東大生はチョイスがちょっと変だね~」みたいな評価になってしまった。。わたしの普段の日本での環境って、東大だからというだけではすごくもなんともなくて、その人自身で評価されるみたいな雰囲気がそれなりにあってそれが当たり前だったから、こういう東大信仰がまだ健在なのを見るのはちょっと新鮮でおもしろかった。

ご住職さんのお宅にお邪魔していちばん思ったのは、単純に「アフリカにいてもアフリカらしくない生活ってできるもんなんだな~」ということ。わたしが海外に行くときって大抵いつも異文化体験が主目的のひとつだから、いかに現地の人に近い生活をするかっていうのが重要なテーマなんだけど、別にそうじゃない海外滞在の仕方だってあるんだよね、という、当たり前なんだけどすっかり忘れかけていたことを思い出した。

閑話休題。他にも本当にもうご住職さんには筆舌に尽くしがたいほどよくしていただいて、こういう下心(性的な意味だけじゃなく)のない善意に触れるのがかなり久しぶりだったこともあって、ものすごく心にぐっと来る滞在でした(後ほど詳述)。

④Tさんとの出会い

そんなわけで土曜・日曜とお寺の近くに滞在して、今日からはご住職さんの紹介でTさんという方のところにお邪魔しています。Tさんは60代の男性で、紆余曲折を経て18年前からガーナに住み、今はここで旅行会社とNGOをなさっている方。すごくフレンドリーで親切で、60代とは思えないほど心がとっても若々しい。

お家には信じられないほどの日本食があって「何でも食え食え」と言ってくださったので、食物貯蔵庫を物色した結果、やっぱり白いあつあつのごはん(日本米。←超重要)とあつあつのお味噌汁という結論にたどり着きました。それから、じゃこ、たくあん、ふりかけ、自家製キャベツの酢漬けもいただいて、本当に涙が出るほどおいしかった。

夕方からひたすらTさんの人生のお話を聞いたりわたしの話もしたりして、最終的に「今日は君に会えて本当によかった。今日から君はガーナに親戚がいるから。いつでも来い、俺はここにいるから。頑張ろうな」と言ってくださって、その発言の文脈的に2人とも感極まって、握手しながら2人して泣いてしまった。そんな自分に驚きつつ、でもとにかく心が激しく震えていて、すごく不思議な時間だった。

今回のお二方との出会いを通して改めて思ったのは、やっぱりわたしを前進させていく原動力って「恩返し」なのかな、ということ。
今までの人生で本当にいろんな人が、いろんなタイミングで、いろんな形でわたしに「投資」をしてくれて、そのおかげでわたしはたくさんの素晴らしい機会――それは時に誰にでも与えられるようなものではなくて――を得ることができて、ここまでの道を歩んでくることができた。わたしはたぶんとても多くのものを与えられている人間で、その与えられたものの大きさに見合った価値を発揮していく義務がある。だから、彼らの投資(≒恩)に報いていくために、与えられたひとつひとつの機会を最大限にappreciateして、そこから最大限に学んで、少しでもいい人間になれるように日々努力して、そうやって得られたものをわたしという人間が出せる価値として社会に還元していくことが、わたしという人間の存在意義なのではないかと思う。そういう形でしか、これまでの数えきれないほどの恩に対して本当の意味で感謝する方法はないと思う。あるいは、わたしという人間はわたしひとりの命ではなくて、わたしが今まで関わった人々がわたしという人間を作り上げていて、だから、自分ひとりのためにというよりはむしろわたしの中に生きる彼らのために、わたしは生きていく義務がある。

1 comment:

  1. れなー久し振り!!覚えてる?はんなです。ちょくちょく日記読ませてもらってます。でも今日の日記はすっごく感動して人の日記を読んで涙したのは初めてなので、記念にコメントを残します(笑)本当にれなの言う通りこれから今までの人生の中で感謝した分社会に還元していかなきゃいけないなと痛感する日々を私も送っています。でもアフリカはやっぱりケタが違うね。れながいるうちにぜひとも訪れたかったけど、金銭面やいろいろな関係で今回は行けないけど、機会を見つけてぜひ訪れなければいけない場所だなと思います。健康に気をつけて、残りの本当に貴重な時間を有効にお互い頑張ろうね♡素敵な日記読ませてくれて、本当にありがとう。

    ReplyDelete