Saturday, July 12, 2008

ぺトラとベドウィン

ああーものすごく濃い体験をしました。

前回の投稿@シリアの後、ヨルダンに戻ってぺトラに行ってきました。
当初の予定はぺトラとワディ・ラムで3日ぐらい過ごし、その後イェルサレムに行く予定だったのですが、結局イスラエル行きを犠牲にしてぺトラに1週間強滞在し、さっきアンマンに戻ってきました。

その間、ずっとぺトラで仲良くなったベドウィンの人の家に泊めてもらってました。
その昔ベドウィンたちはぺトラの中に住んでたそうなのですが、政府の方針によりぺトラからロバで20-30分ぐらいのところに村が建設されて、今はそこに定住している人がほとんど(いまだにぺトラの洞窟の中に住んでるベドウィンもいるにはいるみたいだけど)。
で、今回その村にある彼の家にずっと滞在していたわけです。

最初は「またしつこく誘ってくるよー」みたいな感じでかなり警戒&めんどくさいと思っていたのですが、たまたま会った他の観光客にも勧められたので行ってみることに。それでもその時は一晩だけのつもりだったんだけど、気づいたらこんなに長居をしてしまいました。
でも実はこれあんまり珍しいことでもないらしく、何度も戻ってくる人や、ここのベドウィンと結婚する女性観光客も結構いるらしい。

結論としては、アラブ社会の内部を垣間見た感じがして複雑な思いもあり、楽しいことも難しいと思ったこともいろいろあって、とにかくすごく大きなインパクトを私の心の中に残した1週間でした。

夢から醒めた直後のような気分のいま、思うこと。

なんでここの人たちは赤の他人にこんなにも親切にできるんだろう、、とはシリア・ヨルダンを旅していていつも思うことなんだけど、ここのベドウィンの人たちは特にそれが顕著だった気がする。
家に泊めてくれて、ご飯をごちそうしてくれて、いろいろ近くの見所に連れて行ってくれて、それでもお金は一切いらないという。彼らがなんで、どういう思いでそういうことをしてくれているのかが本当に謎で仕方ありません。
実際9割がた下心っていうのが正解なんじゃないかと思うような節もあるけど、それだけであんなにできるかって改めて考えたらそうじゃない気がする。

でもやっぱりそれは自分が「アウトサイダー」×「女」であるからというのは明白で。
実際に村には女性観光客は何人もいたけど男性観光客はひとりもいない。

それに、わたしを泊めてくれていたベドウィンはよく「Woman the first」(←Lady firstの間違いだよと何度も指摘したのに直らず・・)と言ってくれていたのだけど、あるとき「君は観光客だからね、ベドウィンの間ではman the firstだよ」と冗談のように言っていた。
それから、彼らの「ガールフレンド」(もちろんみんな観光客)の話をしていたときに、「スペイン人の女は男をコントロールしようとするからごめんだね。だから俺は言ってやったのさ、『俺はスペイン人じゃない、ベドウィンだ』ってね」的な発言(←海外小説の翻訳口調なのはご勘弁)。
あと村での結婚式も覗かせてもらったのだけど、男女の居場所はきっちり分かれていて、もちろん女性席は奥の方に隠れていて狭い。
他にも彼らの些細な言動から、ここは男性が動かしてる世界なんだなってことがよく伝わってくる(だからこそ外部者は女性なら入れるけど男性は入れないのかも)。

・・・と、こういうことはイスラム社会では当たり前のことなんだろうけど、ここアラブ世界での居心地のよさにぼーっとなっていた私にとって、そういう「当たり前」を教科書の文章とかじゃなく目の前で見ることは、ぴしゃりと水をかけられたような経験でもありました。

中東大好きとは言っているけど、そして今もその思いは変わっていなけど、ここで「インサイダー」として生きる、という決断は(少なくとも今は)できないな、と強く強く思った。そういう意味でここの人と結婚するという観光客の決断力というか勇気というかはほんとすごいと思う一方で、理解しがたい。

でも逆に言えば、「アウトサイダー」×「女」ゆえの居心地のよさなんだ、ってことを納得してしまえば、それはそれはとても楽しくて。だから長居する観光客の気持ちはよくわかる。

ピックアップトラックの荷台に乗って砂漠に行って、キャンプファイヤーでご飯を作って、満天の星空の下で眠って、朝は川で水浴びをして。野宿とか、枯れ枝で焚き火とか、そういうことが彼らにとっては当たりまえ。
こういうのを「豊か」って言うのかもしれないなあ、とありきたりだけど思ったり。

「Enjoy this moment, enjoy the life」と彼らが口癖のように言う言葉が印象的でした。

でもこれは逆説的だけど、わたしにとってはこれが期間限定だからこそ楽しめたのかな、とも思う。こうやって日々が過ぎていく人生にわたしは本当に満足できるだろうかと言ったらもしかしたらそうかもしれないしそうじゃないかもしれない。

でもやっぱり、ぺトラを知り尽くし砂漠を知り尽くした「野性的」な彼らの姿は、city girlであるわたしにとっては新鮮でかっこよく映ったのは確かです。
(もちろん逆に彼らが知らなくてわたしが知っていることももちろんあって。たとえば性病の話をしたら相当おびえていた。)

この1週間、「異文化」というものを本当にいろんな側面から見られた気がします。今までは面白さばっかりに惹かれていたけど、それに目が眩んでしまうのは時にはものすごく危険なことなんだということもよくわかった(ここには書けない経験も含めて)。

あ、そうそう、ぺトラ自体もね、本当にすごかったです。あれは高い入場料(3000円ぐらい!)払って行く価値あります!!! ベドウィンたちとの交流を抜いても、ぺトラが今までの旅のベストになったことは間違いありません。みなさんも機会があったらぜひどころじゃなく、機会を作って行って下さい。

2 comments:

  1. れなちゃーん☆いつも楽しくブログを読ませてもらってます。貴重な体験をしていて読んでいるこちらもすごく楽しいです!「期間限定の楽しさ」・・・うーん、分かる気がする。あいこ

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  2. 町田がcityかどうかは議論の余地があるけれども、素敵な経験をしているみたいで何よりです。

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